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最高裁判所第一小法廷 昭和29年(オ)643号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士村沢義二郎の上告理由について。

改正前の商法二五一条が削除された現在においても、削除前と同様な裁量権が条理上当然裁判所にあるという所論の見解は是認することができない。この種の裁量権は、原判示のように右規定の削除によつて許されざるにいたつたと解すべきである。そして、予め総会決議事項の通知をしなかつたことは、軽微な手続上の瑕疵ということはできないから、かかる通知のなかつた事項について株主総会の決議がなされた場合は、決議取消の訴において該決議は取消さるべきである。それ故論旨は採ることをえない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

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